UPSとは?停電からパソコンやデータを守る仕組み・種類を分かりやすく解説

UPSとは 用語関連

1.概要

ひとことで理解する

UPSは、停電したときに内蔵バッテリーから電気を送り、パソコンやネットワーク機器が突然止まるのを防ぐ装置です。

ただし、長時間使い続けるための電源というより、安全にデータを保存して機器を終了するまでの時間を確保する装置と考えると分かりやすいでしょう。

目的・役割

パソコンやNASなどは、使用中に電源が突然切れると、保存していないデータが失われたり、ファイルやシステムが壊れたりする場合があります。

UPSを接続しておくと、停電や瞬間的な電圧低下が発生しても、一定時間は電力の供給を続けられます。その間に作業中のデータを保存したり、パソコンやNASを安全に終了したりできるのが大きな役割です。

UPSは停電だけでなく、瞬低(短時間だけ電圧が下がる現象)や電圧変動などの電源トラブルから機器を守るためにも使われています。

略称・正式名称

UPSは「Uninterruptible Power Supply」の略称です。日本語では「無停電電源装置」と呼ばれます。

名称に「無停電」と入っていますが、電気を無制限に供給できるわけではありません。内蔵バッテリーの容量に応じて、給電できる時間には限りがあります。

2.少し詳しく

使用場面

家庭では、デスクトップパソコン、NAS、外付けストレージ、ONU、ルーターなどの保護に使われます。ノートパソコンにはバッテリーが内蔵されていますが、周辺機器やネットワーク機器まで守りたい場合はUPSが役立ちます。

企業では、サーバー、ネットワーク機器、監視カメラ、POSシステム、通信設備、工場の制御機器など、突然停止すると影響が大きい機器に使用されています。

具体例

デスクトップパソコンで作業しているときに停電が発生した場合、UPSがなければパソコンはその場で停止します。UPSがあれば、バッテリーからの給電に切り替わるため、作業中のデータを保存してから終了できます。

また、ONUとWi-Fiルーターの両方をUPSにつないでおくと、自宅だけの停電であれば、しばらくインターネットを利用できる場合があります。ただし、通信事業者側の設備も停止している場合は、UPSがあっても通信できません。

3.仕組み・動作原理

基本的な仕組み

UPSの動作は、次のような流れになっています。

  1. 通常時はコンセントから接続機器へ電気を送る
  2. 同時にUPS内部のバッテリーを充電する
  3. 停電や電圧異常を検知する
  4. バッテリーの電気を使って接続機器への給電を続ける
  5. 電気が復旧すると通常運転へ戻り、バッテリーを再充電する

実際の電気の流れや切り替え方は、UPSの給電方式によって異なります。

構成要素

UPSは、主に次の部分で構成されています。

  • バッテリー:停電時に使用する電気を蓄えます。
  • 充電回路・整流器:家庭用コンセントの交流電力を、バッテリーに蓄えられる直流電力へ変換します。
  • インバーター:バッテリーの直流電力を、機器で使える交流電力へ戻します。
  • 切替回路:通常の電源とバッテリー電源を切り替えます。
  • 制御回路:停電、電圧異常、過負荷、バッテリー劣化などを監視します。

製品によっては、液晶画面、警告音、自動バッテリーチェック、USB通信、ネットワーク管理などの機能も搭載されています。

詳しい仕組み

常時商用給電方式やラインインタラクティブ方式では、通常時はコンセントからの電気を中心に使用し、異常が発生するとバッテリー運転へ切り替えます。この切り替えにはわずかな時間が発生しますが、多くのパソコンやネットワーク機器は、その短い切替時間であれば動作を続けられます。

常時インバーター給電方式では、通常時から「交流から直流、直流から交流」という変換を行い、整えた電気を機器へ送ります。停電時も同じインバーターから給電するため、基本的に切替時間が発生しません。UPSの給電方式

対応するUPSでは、USBやネットワークを通じてパソコンやサーバーへ停電を通知できます。専用ソフトを設定しておけば、利用者が不在でも自動的にデータを保存し、安全なシャットダウンを行える場合があります。

4.種類・規格・対応状況

給電方式の種類

現在使われているUPSは、主に次の3種類に分けられます。

給電方式通常時の動作主な特徴向いている用途
常時商用給電方式コンセントの電気をほぼそのまま送る比較的安価で消費電力が少ない一方、停電時に切替時間が発生するルーター、周辺機器、一般的なパソコン
ラインインタラクティブ方式通常は商用電源を使い、電圧も補正する価格と電源保護性能のバランスを取りやすいパソコン、NAS、小型サーバー
常時インバーター給電方式常に交流から直流、直流から交流へ変換する電気を安定させやすく、停電時は基本的に無瞬断サーバー、通信設備、重要な業務機器

家庭や小規模オフィスでは、常時商用給電方式とラインインタラクティブ方式が選ばれることが多く、高い電源品質が求められる設備では常時インバーター給電方式が使われます。

出力波形の違い

UPSのバッテリー運転時の出力波形には、主に「正弦波」と「矩形波・近似正弦波」があります。

正弦波は、一般的なコンセントに近い滑らかな電気の波形です。現在のパソコンに多いPFC電源、つまり電力を効率よく使うための回路を搭載した電源では、正弦波出力のUPSを選ぶと安心です。

矩形波や近似正弦波のUPSは比較的安価ですが、接続する機器によっては、バッテリー運転へ切り替わったときに停止したり、正常に動作しなかったりする可能性があります。

バッテリーの種類

小型UPSでは、シール鉛バッテリーが広く使われています。価格を抑えやすい一方で、定期的な交換が必要です。

近年はリチウムイオンバッテリーを搭載した製品もあります。一般に小型・軽量化や長寿命化が期待できますが、本体価格は高くなる傾向があります。

利用条件・対応状況

UPSを選ぶときは、次の点を確認してみましょう。

  • 接続機器の合計消費電力を、WとVAの両方で確認する
  • 必要なバックアップ時間を確認する
  • 接続機器に合う出力波形を選ぶ
  • UPS管理ソフトがOSやNASに対応しているか確認する
  • コンセントの数、形状、入力電圧を確認する

UPSの出力容量は「500VA・300W」のように、VAとWの2つで示されます。どちらか一方でも上限を超えると使用できないため、両方を確認する必要があります。接続機器の合計値に対して、1.2~1.5倍程度の余裕を持たせる選び方が目安になります。UPSの容量と選定方法

バックアップ時間は、接続する機器の消費電力が大きいほど短くなります。また、バッテリーの劣化によっても短くなるため、必要時間に余裕を持たせて選ぶことが大切です。

5.特徴・評価

特徴

UPSには、主に次のような特徴があります。

  • 停電時でも一定時間、電気を供給できる
  • 瞬低や電圧変動の影響を抑えられる
  • パソコンやサーバーを安全に終了する時間を確保できる
  • 対応製品では、停電時の自動シャットダウンができる
  • 家庭用からデータセンター用まで幅広い容量がある

UPSは単なる予備バッテリーではなく、電源の状態を監視して接続機器を保護する装置でもあります。

メリット

大きなメリットは、突然の電源断によるデータ消失やシステム破損の可能性を抑えられることです。パソコンだけでなく、常時動作するNASやネットワーク機器の保護にも向いています。

自動シャットダウン機能を利用すれば、外出中や夜間に停電が起きても、対応する機器を安全に終了できる場合があります。電源トラブルによる作業中断や復旧作業を減らせる点も利点です。

デメリット・注意点

UPSは内蔵バッテリーが劣化するため、定期的な点検や交換が必要です。小型UPS用バッテリーの期待寿命は製品や使用環境によって異なり、従来品では1~3年、長寿命品では2~5年程度が一つの目安とされています。UPSバッテリーの交換目安

高温になる場所や通風の悪い場所では、バッテリーの劣化が早まる場合があります。直射日光や暖房器具を避け、吸排気口をふさがないように設置しましょう。

また、UPSは長時間の停電に対応する発電機ではありません。一般的な小型モデルは、数分から数十分程度の給電を想定した製品が中心です。

レーザープリンター、複合機、冷蔵庫、掃除機、モーターを使用する機器などは、起動時に大きな電力が必要になるため、一般的なパソコン向けUPSには接続できない場合があります。使用できる機器は製品ごとに異なるため、取扱説明書の確認が必要です。UPSに接続できない機器の例

6.不具合・トラブル

よくある不具合と対処方法

警告音が鳴る

停電や電圧異常によってバッテリー運転へ切り替わると、警告音が鳴る製品があります。まずは部屋の照明やブレーカーを確認し、停電していない場合はUPSの表示や説明書から警告内容を確認してみましょう。

過負荷やバッテリー劣化でも警告音が鳴る場合があります。

停電すると接続機器も停止する

UPSの容量不足、バッテリーの劣化、出力波形の不一致などが考えられます。接続機器を減らし、UPSのW・VA容量と機器の消費電力を確認します。

購入直後の場合は、指定された時間まで充電してから動作確認を行いましょう。

バックアップ時間が短い

接続機器が増えた場合やバッテリーが劣化した場合は、給電時間が短くなります。バッテリーチェック機能がある場合は診断を行い、交換時期を過ぎていないか確認します。

バッテリーの膨張、液漏れ、異臭、異常な発熱がある場合は使用を中止し、安全に操作できる状態であれば電源を切って、メーカーや販売店へ相談してください。

パソコンが自動終了しない

UPSとパソコンを電源ケーブルだけでつないでも、自動シャットダウンは行われません。USBケーブルやネットワークを使った通信設定と、対応する電源管理ソフトが必要です。

ソフトの対応OS、通信ケーブル、シャットダウン条件を順番に確認してみましょう。

7.似ている用語・関連用語

似ている用語との比較

用語主な目的UPSとの違い
ポータブル電源屋外や停電時に電気を持ち運んで使う長時間使える製品もありますが、切替時間や常時接続への対応は製品ごとに異なります
非常用発電機燃料を使って長時間発電する起動までに時間がかかるため、UPSと組み合わせる場合があります
雷サージ保護器雷などによる一時的な高電圧から機器を守る基本的に停電時の給電はできません
モバイルバッテリースマートフォンなどへ直流電力を供給する家庭用コンセントにつなぐ機器を広く保護する装置ではありません

「UPS機能」や「パススルー機能」を備えたポータブル電源もありますが、切替時間、出力波形、長期間の常時接続に対応しているかは製品によって異なります。一般的なUPSと同じように使えるとは限らないため、仕様の確認が必要です。

関連用語

  • インバーター:バッテリーの直流電力を、機器で使える交流電力へ変換する装置です。
  • AVR:電圧を自動的に調整する機能です。ラインインタラクティブ方式でよく使われます。
  • VA:電圧と電流から求める電力容量の単位です。
  • W:機器が実際に消費する電力を表す単位です。
  • 瞬低:ごく短い時間だけ電圧が低下する現象です。

8.歴史・背景

登場した背景

コンピューターや通信設備は、わずかな停電でも処理が中断し、重要なデータが失われる可能性があります。そのため、電源が不安定になっても機器を動かし続けられる仕組みが求められるようになりました。

日本では1950年代にフライホイールを利用したUPSが導入され、その後、半導体を使って電気を変換する静止形UPSが登場しています。UPSの歴史

変化と普及

初期のUPSは大型設備向けが中心でしたが、半導体やバッテリーの進歩によって小型化と高効率化が進みました。現在では、データセンターや工場だけでなく、家庭のパソコン、NAS、ルーターなどにも使われています。

近年は、リチウムイオンバッテリーの採用、遠隔監視、ネットワーク経由の自動シャットダウンなど、管理しやすさを高めた製品も増えています。

9.まとめ

UPSは、停電や電圧異常が起きたときにバッテリーから電気を供給し、パソコンやNASなどが突然停止するのを防ぐ装置です。長時間使い続けるためではなく、データを保存して安全に終了する時間を確保するものと考えると分かりやすいでしょう。選ぶときは、給電方式、正弦波への対応、W・VA容量、バックアップ時間を確認します。バッテリーには寿命があるため、定期的な点検と交換も大切です。

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